- 2008年11月 5日 23:39
- 日記
彼女が我が家にやってきたのは、まだ小さな小さな子供だった。
それは僕も同じ。18年で計算すると11歳。小学校5年生だったんだな。
彼女は今年の11月2日で、人間で言うと19歳を迎えた。
そして彼女はもうじき、その生涯を終えようとしている。僕が子供だったあの時から、今大人になるまでの18年という長い時間を。
彼女の名はテト。マメ柴犬の血統種だ。
当時父親の知り合いが飼っていた犬が出産し、子供の引き取り先を探していたタイミングで我が家に来る事になった。
当時の彼女はとても小さく、まだ小学生だった僕の腕でも抱く事が出来たほどだった。
今はどうだか知らないけど、あの頃の子供にとって、動物を飼うというのは一種のステータスに近いものがあったと思う。何よりも、彼女が家族になる事が決まり、家に来るまでの時間はとてもとても長く、当日はもう一大イベントといってもいいような気持ちの高ぶりがあったことを、今でもよく覚えている。
名前の由来は、当時多くの話題を集めた、スタジオジブリ作品「風の谷のナウシカ」から、主人公が肩に乗せていたキツネリスの名前、"テト"からとったものだ。
彼女はよく食べ、丸々と太り、一時期は体重が10キロを越えていた時もあったっけ。
公園に散歩に出ると、よく人に「太っててかわいいねぇ~」なんて言われていたものだった。
1995年、阪神大震災のあった年の2月22日、彼女は子供を産んだ。子供は2匹だった。1匹は残念ながら死産という結果になってしまったが、その後に産まれた子は、今も元気に実家で暮らしている。
子供が産まれた頃は、本当に母親になっていた。常に子供のそばを離れず、抱えるように眠っていた。もう、あの頃には彼女は立派な大人になっていたんだな。
そんな彼女も、ここ2~3年で急激な老化が進み、目が見えなくなり、足が動かなくなり、今はもう寝たきりに近い。
実家に帰るたびに痩せ衰えていく彼女の姿が、とてもとても痛々しかった。
今東京にいる僕は、きっと彼女の最期を看取ってやる事は出来ないんだろう。
時には散歩や食事をさせる事がとても面倒だった時もあった。自分が辛い時に、邪険にしたこともあった。
今そんな事を思い出すと、後悔が止まらなくなる。
もっと一緒に過ごしたかったのに。もっと元気に遊びたかったのに。
今年の年末、実家に帰る頃、彼女の命がまだあるかどうか分からない。昨日、母親からそういう話を聞いた。だから今日、こうして書く気になった。
19年。犬にとってみれば大往生と言っていい。獣医さんにも、一番幸せなことだよと言われたそうだ。
分かってはいたはずだった。時間に限りがあることを。それでもいざ、その時を迎えようとした時、気持ちは抑えられない。せめてもう一度、彼女が命ある内に顔を見たいと思う。
けれど、彼女に残された時間はあとわずか。せめてやすらかな時間を、ゆっくりと過ごして欲しいと思う。その時が来るまで。
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